山梨県建築基準法施行条例における「がけ」とは

国土交通省によると、2022(令和4)年には土砂災害が795件(42道府県)発生したとされている。
このうち556件をがけ崩れ(急傾斜地の崩壊)が占めており、その復旧・復興に公民を問わず莫大な資金・労働力が投じられている。
これまでの想定を超えた災害の頻発・激甚化時代を迎えていることから、国民の生命、健康および財産の保護の観点から、生活や社会経済活動の基盤を支える建築物に対する建築規制を通じたがけ崩れへの安全性の確保が急務である。

それを受けて山梨県では、急傾斜地崩壊危険区域内における居室を有する建築物については、【山梨県建築基準法施行条例. 第 2 条の 3】【山梨県建築基準法施行条例第 2 条の 4】が適用されます。
山梨県建築基準法施行条例における「がけ」とは高さ3メートル以上で勾配が30度を超える傾斜地のことをいい、県が具体的な場所を指定しているものではありません。
高さ3mを超える傾斜地が「がけ」に該当するか相談される際は、実測図・平面図・断面図など高さや水平距離が判別できる資料等をご準備した上で、関係省庁と事前協議を行います。

3m以上のがけにある擁壁
相談がありました山梨県のとある敷地の境界ライン沿いに、3m以上の高地差があり安全を満足した擁壁があります。
この条件において、実際の報告書の一部をUPさせて頂きます。

山梨県 急傾斜地指定
3m以上の高低差がある場合、山梨県建築基準法施行条例の「急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律」における「がけ」(高さ3m以上、かつ、勾配30°を超える傾斜地)を指し、がけ(傾斜地)付近に建築物を建築する場合、
「建築基準法施行令第80 条の3」・「山梨県建築基準法施行条例 第2条の3」・「山梨県建築基準法施行条例第2条の4」が適用される事があります。
①建築基準法施行令第80 条の3
・土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(土砂災害防止法)」における土砂災害特別警戒区域[通称:レッドゾーン]の位置の調査。
・土砂災害特別警戒区域内における居室を有する建築物については、【建築基準法施行令第80 条の3】が適用。
①山梨県建築基準法施行条例第2条の3
原則として、建築物の基礎及び主要構造部を鉄筋コンクリート造とし、かつ、居室は「がけ」に面していないものでなければならない
②山梨県建築基準法施行条例2条の4
がけの下端(がけの下にあっては、がけの上端)からの水平距離が、がけの高さの2倍以内にある位置に建築物を建築し、又は建築物の敷地を造成する場合は、【山梨県建築基準法施行条例第2条の4】が適用される。
「山梨県建築基準法施行条例2条の4」の概要
次の1~3の全てに適合しなければならない。
1.次のいずれかに該当しなければならない。
・がけに安全な擁壁を設ける。
・がけの形状又は土質により安全上支障がない場合。
・がけの上に建築物を建築する場合であって、当該建築物の基礎が、がけの安全性に 影響を及ぼさないとき。
・がけの下に建築物を建築する場合にあって、当該建築物の主要構造部を鉄筋コンク リート造りとし、又はがけと当該建築物との間に適当な流土留めを設けたとき。
2.がけの上部に盛土をして建築物の敷地を造成する場合は、当該盛土の部分の高さを2.5m以下、斜面の勾配を45°以下とし、かつ、その斜面を芝又はこれに類するもので おおわなければならない。
3.がけの上にある建築物の敷地には、がけの上部に沿って排水溝を設ける等がけへの流水又は浸水を防止するための適当な措置を講じなければならない。

がけ(傾斜地)付近に設ける擁壁は、仕様によって建築基準法の「工作物」となり、工事着工前に必要図面+構造計算書+申請書等を準備しながら「建築確認申請」の申請が必要となります。

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山梨県甲府市
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