外壁タイルの調査 タイルの浮きを打診音で確認しながら改修工事

新築や外壁タイルの改修を行ってから年数が経過している建築。
「外壁タイルは、いつかは剥離・落下します」
建築の外壁タイル調査がスタートして数年経ちますが、まだまだ多くのタイル貼りの建築で未調査です。

外壁タイルの落下

日本建築防災協会の統計資料(外壁タイル張りの耐震診断と安全性対策指針・同解説の付-5外壁タイル張りの剥離・剥落故障例 1998年発行)によれば、タイル張り外壁の故障が確認されるまでの経過年数は平均13.6年と報告されています。
特に、2.湿式工法によって施工されたタイルは注意が必要です。
その原因は、日射と放冷による表面温度変化で起こる膨張・収縮の繰り返し応力とその重さ(モルタルを含めた)と考えられています。

吉野聡建築設計室では、その調査を行う場合「打診調査と赤外線調査」の2種類の調査を行っています。
赤外線調査については、下記のブログをご確認下さい。
2012年5月15日 特殊建築物の定期調査報告 外壁タイル調査 1/3
2012年5月16日 定期調査報告 外壁タイル 赤外線調査 2/3
2012年5月17日 特殊建築物の定期調査報告 外壁タイル調査 3/3

今日のブログでは「打診調査」をUPさせて頂きます。
調査員が打診棒で直接タイルを叩いて音を確認する、最も確実で基本的な調査方法です。
浮きの状態を正確に把握できる一方、高所での作業が必要となるため、以下のような方法で実施されます。
①足場を設置しての調査
最も安全で確実な方法ですが、足場の設置・解体費用が高額になり、工期も長くなる傾向があります。
②高所作業車による調査
足場を組む必要がなく、比較的費用を抑えられますが、作業車の設置スペースが必要であり、建物の形状や高さによっては調査範囲が限られます。
③ロープアクセスによる調査
作業員が屋上からロープで吊り下がって調査を行います。足場が不要なため、コストを大幅に削減でき、短期間での調査が可能です。ただし、作業員の高い技術力が求められます。

甲府市北口にあります高層マンション。
外壁タイルの調査・改修工事を行っています。

山梨県甲府市高層マンション 外壁タイル

山梨県甲府市 外壁タイル調査
外壁タイルの浮きには「陶片浮きと下地浮き」があります。
陶片浮き:タイルそのものが、タイルを接着しているモルタルから剥がれている状態です。
下地浮き:タイルを固定しているモルタルが、躯体のコンクリートから剥がれてしまっている状態を指します。
この浮きの違いを打診音で判断します。

打診棒でたたく外壁タイルの音の違いをお聞き下さい。

外壁タイル打診調査 音の確認 13秒のyoutubeをご確認下さい。
①高音・・・タイルの接着OK
②低音・・・陶片浮き(タイルが浮いている状態)
③中間音・・下地浮き(下地のモルタルが浮いている状態)
このように、打診法ではタイルを1枚1枚をなぞったり・叩いたりしながら確認を行ってきます。

なぜ打診調査が必要か?
外壁タイルは、経年劣化や施工時の不具合、地震などの影響により、下地のモルタルから浮きが生じることがあります。この浮きを放置すると、タイルが剥落し、通行人などに重大な事故を引き起こす可能性があります。実際に、過去には外壁タイルの落下による死亡事故も発生しており、建物の所有者や管理者は、定期的な点検と適切なメンテナンスを行う社会的責任を負っています。

法律による義務付け
建築基準法第12条では、特定建築物(多くの人が利用するマンション、病院、ホテル、事務所など)の所有者または管理者は、定期的に専門の技術者による調査を行い、その結果を特定行政庁に報告することが義務付けられています。
外壁の調査については、竣工後または外壁改修後10年を経過した建物に対して、全面的な打診調査などが求められています。その後も定期的(おおむね10年ごと)に全面的な調査が必要です。手の届く範囲については、より短い周期での打診調査が推奨されています。

「打診調査と赤外線調査」
それぞれの調査方法・報告内容にメリット・デメリットがあります。
よって「打診調査と赤外線調査」の2種類を併用して調査を行う事もあります。
この分野でも、しっかり・正しく調査です。
これが吉野聡建築設計室の外壁タイルの診断調査です。

企業、事務所、工場、倉庫、店舗、飲食店、アパート、マンション、住宅、各種病院・歯科医院、公共建築などのデザイン・設計・監理。
耐震診断、耐震補強設計、耐力度調査、建築確認申請手続き、
特殊建築物定期報告書検査作成

山梨県甲府市
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