既存建築物の活用時に「用途変更確認申請」が必要になる事も

経済社会情勢や環境問題を考えると、建築物はフローからストックの時代(造っては壊すという考え方では無く、長年使用する)へと変わりつつあります。
「既存建築物を活用し実用的で魅力ある建築に」です。
そこには、多くのメリットがあります。
既存の建物を再利用することには、環境、経済、社会の各側面で多くのメリットがあります。
①環境への配慮
新しく建物を建てる場合と比較して、既存の建物を利用することは、環境負荷を大幅に削減できます。
廃棄物の削減: 解体によって生じる大量の廃棄物を減らすことができます。
②省エネルギー
新しい建材の製造や建設現場への輸送には多くのエネルギーが必要ですが、既存の構造体を再利用することでこれを大幅に節約できます。
CO2排出量の削減: 建設業界は多くの二酸化炭素を排出しますが、既存ストックの活用は「隠れた」炭素排出量(Embodied Carbon)を削減する上で非常に効果的です。
③経済的な利点
コスト面でも、既存建物の活用は有利に働くことが多いです。
・建設コストの削減: 基礎や構造躯体など、建物の最もコストがかかる部分を再利用できるため、新築に比べて建設費を抑えることが可能です。
・工期の短縮: 基礎工事や構造工事が不要になるため、プロジェクト全体の期間を短縮でき、その分早く収益化を図れます。
・補助金や税制優遇: 歴史的建造物の保存や空き家の再利用など、国や自治体が補助金や税制上の優遇措置を設けている場合があります。
④社会・文化的な価値
既存の建物には、新しい建物にはない独自の価値があります。
・歴史と文化の継承: 古い建物には、その地域の歴史や文化が刻まれています。これを保存・活用することで、街のアイデンティティを未来に引き継ぐことができます。
・景観の維持: 長年親しまれてきた建物がなくなることなく、新しい役割を持って生き続けることは、地域の景観やコミュニティの維持に貢献します。
・ユニークな空間の創出: 新築では再現が難しい、古い建物ならではのユニークなデザイン、素材感、空間構成を活かして、魅力的な空間を創造することができます。例えば、古い倉庫をリノベーションしたカフェや、古民家を改装した宿泊施設などが人気を博しています。

教会から倉庫 用途変更確認申請
教会から倉庫 用途変更確認申請
教会の事務所から倉庫への用途変更。
用途変更確認申請の申請が必要となります。

多くのメリットがありますが、既存建築物や中古建築などのを利用して、新たな用途として活用する時にはご注意下さい。
建築基準法・都市計画法・消防法・条例などにおける対応があるからです。
それは、既存建物の用途から新しく活用する用途の変更によって、「用途変更確認申請」が、工事完了時には「完了届」が必要になるからです。
建築確認申請とは、
建築基準法 第6条、第6条の2、第6条の3に基づく申請行為です。
建物の用途の変更に関して、建築基準法などの確認や関係各署との事前協議・申請手続きなどが必要となります。
その他、消防法・条例などの対応も必要です。
このような対応は、敷地条件や建築によって全てが異なります。
だからこそ、事前に詳細な現場調査・確認・事前協議が必要です。

このような計画を検討されている皆様。
計画段階で(事前に)信頼のおける建築士にご相談下さい。
「知らなかった!!」
そのようなケースで、大きなトラブルになる事があります。

企業、事務所、工場、倉庫、店舗、飲食店、アパート、マンション、住宅、各種病院・歯科医院、公共建築などのデザイン・設計・監理。
耐震診断、耐震補強設計、耐力度調査、建築確認申請手続き、
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